THANX 6666HITS FOR ライカさま

 

××月は呼ぶだけ 僕は飛ぶだけ××

 

 

「今夜は満月ですなぁ。」

「そうですなぁ。」

まんまるいお月様に誘われるかのように、俺とケンちゃんは2人並んでふらふら歩いていた。
東京の狭い夜空に、ぽっかりと浮かんだ月に向かって。

「満月の夜ってさぁ、犯罪が増加するって、ほんまなんかなぁ。」

月の光は馬鹿みたいに薄くて。
俺はなんとなく自分のテンションが変なことに気づいていた。
酔っ払っているような、足が地に付いていないような、
そんな浮遊感。

「どうやろねぇ、でも、あれかも」

どこかうっとりとしゃべるケンちゃんも、なにかいつもと違う感がある。

「人間の体も70%ぐらいが水やから、
潮の満ち干きみたいに、月の引力がなんか影響するんかもね。」

「あぁーなるほどー」

妙に納得してうなづいて、俺はふと足を止めた。

月は遠い。まだまだ遠い。

「ためしてみよか。」

満月の夜は、だれもがおかしくなるのだろう。
そんな魔力を秘めていた。
今夜の月は。

「なにを?」

問い返してくるケンちゃんの目はきらきら光ってる。
きっと俺の目はそれ以上に危なげな光を宿していただろう。
そんな自覚さえあった。
今夜の俺は、いつもにまして変なのだ。

目をつむって、俺はその場で佇んだ。
両手を広げ、かすかな月の光を、精一杯受けるようにして。

じっと黙ったまま、一心に月光浴。
こんな寒い夜に道の真ん中で突っ立ってる俺もじゅうぶんおかしいが、
それを止めずに端から見守ってるケンちゃんもやっぱりおかしかった。

「どお?」

ケンちゃんが嬉しそうにたずねてくる。

俺はゆっくり目を開け、ケンちゃんのほうに振り向いた。
自然顔がにんまりと笑んで。

「俺どっか変わった?」

「なんか悪魔みたい。」

ほぼ即答で返ってきて、俺は思わずがくっと項垂れた。
ケンちゃんは本当に真顔で。
なんだか余計におかしかった。

「しつれいな〜〜、せめてかぐや姫とかさー」

かぐや姫て!と、俺の発言にケンちゃんはゲラゲラ笑っている。
その笑顔、後悔させてやりまっせ。

そういえばケンちゃんは俺を初めて見たときに「サタニックを感じた」とか。
ケンちゃんの直感、というのはえてしてよく当たるのだが。
初対面で俺のダークサイドを一瞬で感じ取ったのは、たぶんケンちゃんが初めてだ。

「そういえば狼男ってさー、なんで月見たら変身するんやろ。」

再び月に向かって歩き出しながら、俺は素面の白い月を見やってぽつりと漏らす。

「さあー、興奮するんちゃう?」

「月見て?」

「たぶん。」

2人して顔を見合わせて、あらためてもう一度月に見入る。

「あーでもなんとなくわかるかも。
月見とったら、なんかこう、ざわざわと・・・血が騒ぐとゆうか・・・」

「いやんハイドさんかなり怖いです。」

俺が両手をわきわきさせてる横で、ケンちゃんがやーん、と声を上げている。

ヒゲヅラのおっさんがそんなかわいい声出すほうがよっぽど怖いわ。
とどれだけゆってやろうかと思ったが、そこは大人な俺さま、
別方面で仕返ししてやろうと企んだ。

「ハイドって外見からして人間離れしてるからさぁ、
月の光なんか浴びとったら、ほんまにそのうち悪魔になってしまうような気ぃするわ。」

笑ってるケンちゃんを見て、俺も笑う。

「もうなってるかもしれんよ?」

「ほんまやなぁ〜」

でもハイドは悪魔になってもきっと今と変わらんな。

そう言って笑うケンちゃんの息は真っ白だった。
空には、白面の月。

こんなにもやわらかく笑うケンちゃんを困らせたいと思うのは、やはり今夜の月の魔力のせいなのだろうか。
テッちゃんは満面の笑顔がいいとゆうが、
俺は
この人の苦笑する表情が好きだった。

欠けた月を愛するように。
シンメトリーを打破した人の不完全さが好きだった。

みんなはときどき俺を「天邪鬼だ」と評するが
それよりも、「悪魔的」、というほうがしっくりくる。
自分自身。
ときどき、こんな満月の夜に考える。
月が。
俺を、呼んでるのではないかと。

しかし今そんなことをゆったらケンちゃんに本気で引かれそうなので
まだ黙っておこう。
どうせ俺は竹から生まれたわけでも、月からお迎えがくるわけでもないから。
まだまだこれから先にだって。
2人で満月を眺める時間はあるだろうから。

 

いつまでたっても月には辿り着かない道を

今夜はひたすら、2人でぶらぶらと歩いていった。

 

 

 

 

 

 


6666ヒッツライカさまリク、「サタニックなハイドとやさしいケンさん」でした〜
なんか佐竹はサタニックの意味をはきちがえてる気がしてなりません(笑)
「悪魔!といえば魔性の月!」
というこの単純思考回路をどうにかしてほしい・・・
文中にある「ハイドのし返し」はきっとこの数日後にでも実行されたことでしょう・・・
なにわともあれ、6666ヒッツありがとうございました〜〜!!

 

 

 

 

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