大学時代可愛がってくれた先輩は左耳に3つのピアスホールをあけていた。

当時は誰も鼻やへそにつけたりしなかったし
耳にでも一つしかつけなかったから
先輩はあの当時からちょっと変わってたと思う。

俺のピアスホールは
ばーじんはバイト先の店長。
二つ目は自分で。
そして三つ目はその先輩があけてくれた。

先輩は酔っ払って公園で寝てたら雪が降って凍死した。

俺は先輩が好きだった。

 

 

 

スカーラーピアス

 

 

 

「ユッキーのピアスホールって、だれにあけてもらったん?」

と、言ったあとで俺は激しく後悔した。
ぼけっとしてるユッキーの向こうで、テツがにやにやと笑いを浮かべてる。

「ふつー自分であけるんじゃないの?」

ごもっともでございます。
淡白に言い放ったユッキーにちょっと悲しくなりつつも
俺はすぐにでもこの会話を打ち切ろうと思ったのだが。

そうや問屋が(じゃなくてテツが)卸さない。

「けんちゃんバイト先の人にあけてもらってんで。」

ぎゅーって手ぇ握らしてもらっててんよなー
テツはやたら嬉しそうに笑って。
うるさいわーくそー
昔のことを知ってる相手とは分が悪いものだ。

へーそーなんだ、とユッキーは興味あるのかないのかいつもの調子で。

「他は?自分であけたの?」

「んー?んふふふ。」

「うわなんやこの子。キモチワルー。」

思わず含み笑いをもらす俺にハイドまでが加わってつっこんできた。

「やけに意味ありげな笑い方だねぇー」

「だれだれ?だれがあけてくれたん?」

「んーひみつっ!」

「えーー?」

最初に聞いてきたユッキーよりむしろテツの方が不満そうに声を上げる。
俺は誤魔化すようにして笑った。
頭の中には、はっきりとあの先輩の顔が浮かんでいたのだけど。
なんとなく。
そのことは告げぬまま。

「はじめて自分であけるのって、怖くなかった?」

俺がもういちど問いかけるとユッキーは。

「うーん、ドキドキしたね。」

「ドキドキ!」

「ドキドキかー!」

あまりに言い方がツボで爆笑してしまう。
いや、なんかね、ユッキーがドキドキってゆうと、
なんか、おもしろいのよ。

「恋愛のドキドキみたいな?」

「あぁ、なんか似てるかもしんないね。」

マジデ?
ハイドの口元にはどこかあくどい笑みが刻まれてる。
真摯にうなづいてみせるユッキーが可笑しくて。

ピアスの穴あけるときのドキドキって、恋してるときみたいじゃねぇ?

自らの言葉に笑いながら呟いたあの先輩のクサイ台詞を思い出す。

キケンな状況下で生まれる恋愛感情みたいな?

よくわかってんじゃん。

俺の返答に先輩は満足げにもう一度笑った。

「SとMで成り立つ関係なかんじ?」

楽しそうに問うハイドに、
たしかに。
と、笑い返すユッキーは、
どこかあの先輩に似てるのかもしれなかった。

「恋はエスエムなんてシャレにならん格言やわ。」

「でも案外当たってるかもよ?」

テツもじつはそーなんちゃう?
冗談で言ったのに返ってきた言葉は

「俺は恋でも愛でもきっぱりとエスや!」

せやからピアスなんかあけへんっ、と堂々言い張るテツは
かっこいいのかどーなのか微妙なとこだった。

しかしちょっと待て。
その理論でいったら俺はエムか。

「だってけんちゃんエムやん。」

えええ。ハイドまで。

「そうかなぁ・・・」

「そうだよ。」

呟いた俺にとどめを刺したのは
普段はこーゆう系の話題には笑って聞いてるだけのユッキーであった。

 

 

 

 

 

はじめて開けてもらったときも

自分で開けたときも

先輩が開けてくれたときも

いつだってドキドキしてたけど。

 

もう今は感じない。

 

あの頃の鋭敏で新鮮だった感覚はとうに磨耗してしまって。

けれど

それをオトナになったからと片付けるのは

あまりに惜しいのだ。

 

 

俺はきっと

皮膚を破るときのあの緊張と

疼くように残るかすかな痛みが

好きだったのだ。

 

 

 

恋してるときみたいじゃねぇ?

 

 

 

ああ先輩、あなたの言葉はまったくもって正しかった。

俺は今更になってもう一度、

あの頃のドキドキを、取り戻したくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 


18000ヒッツ、ユエさまリクでございました。
けんちゃん乙女。ハズカシ乙女ーっ!!(←やめれ)
佐竹はピアスあけた経験無いんでよーわからんのですが。
いろいろあることないことでっちあげてみました。えへへ。
もう一度恋がしたいとおっしゃってるのでしょーか。乙女やなぁけんちゃん!キャ!
えー収拾つかんくなってまいりましたが。
ちゅわけで18000ヒッツ、ありがとうございましたぁーっ!!

 

 

 

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