**THANX bbs2400 HITS FOR ユエさま**

 

 

キャンディーサワー

 

 ふと見やったソファの向こう側からやけに白煙が立ち昇っていたものだから、なんとはなしにとことこ近寄ってって覗きこんでみると、そこには予想した人物とはまったく外れた人が座っていた。

「リーダー。体に悪いよ。」

 ケンがソファの背に上半身を乗せて、真横で深く沈みこんで腰掛けているテツに言うと。

 テツは、タバコを唇にくわえたままケンにちらりと視線をやって。

「ケンちゃんの真似。」

 淡白にそう言い放って、ぷいとまた正面へ向いてしまった。

 ソファの背の上に肘ついてじっとテツの様子を見つめるが、テツは知らん振りで憂鬱そうに煙草をふかしている。

 全域は広くに渡って曇りに強風、のちに雨となるでしょう。

 雷が落ちるんも時間の問題やわ、と胸の内で呟いて、ケンは羽織っていたジャケットのポケットをごそごそと探った。

 手に握られて姿を現わしたのは、丸いキャンディーが1つ。

「はい、コレあげるから、こっちは没収ー。」

 ぇえー?
 有無を言わさずケンにくわえていたタバコを取り上げられてテツは思いっきり不平の声をもらすが、その代わり眼前に、そのポケットから出てきたチュッパチャップスを突き付けられる。

 しばしテツは、面前に差し出されたキャンディーを凝視して。

「俺ピーチ味がいい。」

「ピ〜チィ?あるかなぁ〜。」

 行き場を無くしたソーダ味と没収したタバコを手に持ったまま、ケンは再びジャケットのポケットを漁る。
 チャンスとばかりにテツは隙を狙って取り上げられたタバコを取り返しにかかるが、ひょいとあっさり避けられて、代わりに手にはピーチ味のチュッパチャップスを握らされていた。

 手慣れたものである。

 たまに思うけどこの人は泥棒の素質とかあるんちゃうやろか、などと訝しげな視線をケンに送りつつ、テツはしかたなしにいただいたキャンディーのトッピングを破って再びソファに深く腰かけた。

 なかばヤケクソ気味にそのキャンディーを口に含むと、じんわりと甘くおいしい味が広がってくる。
 単純だとはわかっているが、ちょっと気分が落ち付いた。

 横にちらりと目をやると、ソファの背に尻を乗っけて、売れ残ったソーダ味を嬉しそうに舐めているケン。

「ケンちゃんのポケットってさぁ、なんでも入ってるよね」

「そお?」

 なんでも入ってる。
 憂鬱を救ってくれたり、苦い思いを取りさらってくれるもの全部。

 ピーチ味はイヤになるほど甘ったるかったが、今のイガイガしたにがい気分には、これくらいが丁度良かった。
 口の中に残っていたタバコの味が、余計に甘さを引き立ててるのだろう。

 しばらくお互いにぼんやりとキャンディーの甘さに没頭していたのだが。

「ダッツ食べに行こか。」

 唐突に、ケンが提案してくる。
 それは本当になんの前触れもなくて。

「なんで?」

「甘いもの食べたいなーって思ってない?」

「なんでわかるん?」

 肩越しに見上げてくるテツに向かって、ケンは、にっと笑い、

「ココにしわよってるから。」

 ピンッ、と、テツの眉間を人差し指ではじいた。

 ずばりその通りだったのでテツは言い返すことができず黙っていると、ケンはその表情を見てもう一度笑って、視線を正面に戻してしまった。

 あぁ、呆れさせたかな、と思うが、ちらりと横目でケンの表情を見やっても、いつもと変わらず。
 安心半分、ちょっとだけ腹が立った気がした。
 こんな自分に対しても、表情も変えない。
 いつもどおりに笑って。

 自他ともに認める甘い物好きだが、彼自身がまさに甘味なのだと思う。

「ダッツ最近食べてないなぁ〜〜」

 あきらめたのかと思いきや、ケンは足をバタバタさせながら独り言のように呟いている。独り言にしてはずいぶん声の音量がでかかったが。

「秋冬限定のさ〜、マロングラッセまだ食べたことないねんよな〜」

 子供のように遠まわしに言ってくるケンに、テツはため息ひとつ。

「ユッキー誘えばいいやん。」

「なーんでよ〜。テツも行かんと意味ないやん。」

「なんでよ?」

 意地悪く聞き返してみても。

「だって甘いもの食いたいんやろー?」

 おかまいなしのAB型。

「食いたないもん。」

「うそやー、絶対食いたいはず!」

 再びテツはぷいっとそっぽを向くが、ケンはソファの背から身を乗り出して、テツの表情を追いかけてくる。
 一瞬ケンは間を置いて。

「少なくとも、今はここにはいたくないやろ。」

「・・・・・」

 テツは、盛大なため息をついて。

 場の雰囲気や空気から、人の心を読むのが上手なのだ、この男は。


 額に手を当てて、ちょっとのあいだ俯いて目を閉じる。
 そこまで気付かれてるのなら、もう相手に乗らないわけにはいかないだろう。
 テツはソファの上に放り出していたサイフとケイタイをつかんで、ようやく重い腰を上げた。

「マロングラッセ、ケンちゃんのおごりな。」

「うえぇ、マジでぇ〜?」

 文句言いながらも足取り軽く、行く気まんまんの様子のケン。

 まったくテツを元気付けさせるために言ったのかだたたんなる自分の欲望からかは、いまいちわかりかねたが。
 本人の意図はどうにせよ、テツの気分がちょっとだけ晴れたのはたしかだった。

 ふて腐れて吸ってたタバコは置き去りに。

 体中に広がる甘いピーチ味を噛み締めて、テツはスキップしているケンの後を追いかけた。

 

 

 


bbs2400ヒッツ、ユエさまリク。・・・のはずやったんですけどー(笑)
佐竹のキリリクメモを見ますと、「bbs2400⇒テッケン甘い話」って書いてありまして、
そのせいですね、なんか別方向に甘くなってしまったのは。ははは。もう笑うしかなし。
実際には「甘い物好きなケンちゃんで鉄拳コンビ」ってな感じのリクやったんですが。
ムリヤリハーゲンダッツとか混ぜてるあたりが余計痛々しいというか(笑)
すいません佐竹ってばこんな奴です。遅くなりましたがbbs2400ヒッツ、ありがとうございました〜★

 

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