濃紺の中、ぽっかりと浮かぶ真っ白な丸に、

おのれの「穴」を、重ね見る。






空洞はひゅうひゅうと、

ただ冷たい風を鳴らすのだった。










まんまるい空虚な月は
はるか遠方より僕を嘲笑う

























ごろり床に寝転んだまま、窓の向こうの夜空を見上げた。

 

美しさを謳わずにはいられない満月だ。
不気味なほどに、白く、大きな。








最近は自宅のスタジオにあまり出入りしない。

あそこは、あまりに「音」で溢れ過ぎている。
ポツリと肩に落ちては、
すぐに莫大な音楽という化け物に姿を変えてしまうのだ。













床に這いずる時間が増えた。

 

裸足の皮膚が床の冷たさに引き攣る。

















平面的な黒に驚くほど明確なあの空の白い丸は、
自分のこころにあるでっかい穴のように見える。






穴は広がることもなく、塞がることもなく、

はるか上空から地面にへばりつく俺を見下ろした。

いつでも。
・・・・・いつでも。









随分昔からそれはおのれと共にあったモノなのだ、
それこそ、おそらくは自我を形成しだした幼少期から。

気付かなかったわけじゃない。

ただ無視しておけると思ってた。

小さい頃食べたくないおかずに、茶碗で蓋して隠したように。


















あまりに唐突に、そして完全に、
俺の世界は外界との接触を断絶された。

自分がこれほどまでに人付き合いの薄い人間だとは。
新発見やな、ヒマさえあればレポートでも書いて提出してるところやわ。

くだらない。







どれだけ自然に、それはまるで摂食し排出するように自然に、
この体から産み落とされる音楽も、

今は行き場のない、只の音。





















音が響く。

 

深淵にぽっかり空いた、空虚な穴に。






共鳴?

ちがう、全然ちがう、

俺はその感覚を表わす言葉を知らないだけ。




なんてくだらない話。































窓の外の夜空、真っ白い大きな月は、俺の闇に潜む心の穴だ。

見上げたその先に、いつだって浮かんでる。








たん、たたん、たん、

裸足の足で、床にリズムを刻む。











たとえば今ここに誰かがいたなら、
なにかが変わってた?

 

ぐしゃぐしゃに丸め込んだ感情を、白い大きな穴に投げ入れる。

言葉もムダか、さよなら。

 

伝えることを怠った罰が、今こうして俺を打ちのめしてる。
















空に浮かぶ空洞は、白けたカオで鳥瞰を続けた。




おい おまえ 無軌道な 佇立を やめなよ。





それはなによりまさしく俺自身の声だった。



































穴は広がることもなく、塞がることもなく、

はるか上空から地面にへばりつく俺を見下ろした。

いつでも。
いつでも。
いつまでも。














その穴から溢れ出るのはたくさんの音だ。

巨大なその奔流を、一本の糸に紡ぎあげられるのはたぶん俺だけ。




俺は必死になって紡ぎ続ける。
もう少し、もう少し。
あの穴の向こうに放り投げたものが、少しつづこの手に戻ってくる。












言葉が必要だった。

もうとっくの以前に、自ら投げ出してしまっていたのだけれど。










「ちょっと、俺に、力貸してくれへん?」







『失くすのを恐れるなら もう黙っていちゃダメだ』
言葉は、相手に突き刺すものじゃなく、自分を内包するものなんだ。



















俺は見上げる。中空の、大きな丸い穴を。

でも実際はそれは空洞なんかじゃなく、
いっぱいいっぱいいろんなものが詰まってるってこと、

だいぶ前から、知っててんよ。






























・・・・・・えー・・・(←言い訳する言葉を探してる)
や、ケンちゃんのインタビュー読んでさ、ああなるほど、って思ったんすよ。
随分前、今必要なものは?って聞かれて、
「あー・・・勇気!」って笑ったケンちゃんは
言葉にする勇気がほしかったんかなーみたいな。
かなり自由気ままに楽しんでやってるらしいSOAPですが
案外始めるまでにはかなりの葛藤があったと睨んでます。
サクラにしても、アインにしても、ケンちゃんにしても、
伊達の覚悟じゃやってねーんだぞぉーっていう、
なんかそういった気合を感じますね、あのバンドには(笑)

ちなみにこれの裏タイトルは、「行間を読め!」(んな大仰な)



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送